日銀による政策誘導目標をゼロに持って行く、即ち日銀が市中から国債をひたすら買い上げ長期金利をゼロに誘導し、国内金利を低下させることで円の為替レート上昇を抑え、以てわが国産業界で最もGDP寄与度を高くする国内輸出メーカーの収益を維持・拡大させることで東京株式市場の相場高を演出するといった悪しき社会主義政策の演出が遂に限界を露呈し始めた。
欧米中銀との政策金利の乖離を拡げ、円の為替相場は強い売り圧力を被ったからだ。
アベノミクスによる円高抑制が皮肉にも円レートの急降下を喚び、日銀はのべつに流通国債を買い捲る策を緩めざるを得なくなった。
ところが、海外の投機勢は日銀が手綱を緩めざるを得なくなったことを契機に大挙して流通国債の空売りをを始め、去年末金利上昇の変動幅を0.5%までとした日銀の新たな方針を越える国債の売り圧力に曝されることとなった。
その海外投機勢と日銀との熾烈な鬩ぎ合いが展開されている今、4月初旬に任期を迎える黒田総裁の退任前倒しが囁かれている。
半社会主義国家・日本の10年に亘る反市場政策の重いツケを遺して、黒田総裁は白川方明前総裁が2013年4月の任期を待たずして第2次安倍内閣の発足によって強引に退任させられるシーンと好対照を成すかのように、市場の圧力から任期を待たぬ退任を迫られた。
安倍元総理が凶弾に斃れ、カルト教団による卑劣な殖財行為と自民党議員との関係がまた取り沙汰され、10年に亘る反市場政策の重いツケを遺し、最期にアベノミクスの重鎮が表舞台を去らねばならなくなった。