黒田東彦 憲政史上最長となる在任期間をマークした故・安倍元総理が横死を遂げたことは当に天誅を被った観を得る。
 史上最長の在職をして政策の成果を示さなかった報いの表れと印象づけられたが、その故・元総理が前総裁の任期を縮めてまでして強引に就かせた黒田東彦日銀総裁もこの4月上旬を以て任期とし、これまた史上最長の総裁任期を止めることとなる。
 旧大蔵省の傍流に在った人物が10年の長きに亘って揮った金融裁量は偏えに慢性化した政府の歳入欠陥を補填すべく発行される新発国債を消化する為に日銀が無尽蔵に流通国債を買い捲るという強権的・社会主義的、将又専制国家的意思の実現であった。
 旧大蔵省銀行局長を務めた澄田智日銀総裁の裁量が1980年代後半のバブル経済を演出し、爾後わが国は"失われた10年"を経て、小泉構造改革とアベノミクスを体験した。
 アベノミクスを演出した一方の元総理は横死を遂げ、もう片方の日銀総裁は間もなく「公職」から解かれる・・・
 岸田内閣退陣の決め手になると評される4月上旬の統一地方選の頃、日本を崖縁に逐い込んだ黒田東彦は晴れて"釈放"されるが、わが国の将来にとって次期日銀総裁を誰にするかという問題は生死の境を辿る問題さね・・・