去年12月黒田日銀は10年近くの長きに亘って続けてきた大規模金融緩和の方針を遂に改め、長期金利の変動を上下0.5%の範囲まで容認する政策の転換を公にした。
 斯くして、つい先頃、長期金利は0.5%を越える勢いで上昇し、日銀は慌ててあらゆる買いオペの手段を執るとして、火消しに急いだが、この4月初旬には黒田総裁の任期を迎え、いずれ後任の新総裁は長期金利の上昇を容認する方向での政策を執るだろうと思われる。
 そうした中、政府は大幅な防衛費予算の拡大を図るべく増税の意思を表し、与党内では強い反発を喚んでいる。
 政治家にとって何よりも増税は選挙に強く響くことだから、何としても避けて欲しい処だ。
 そこで、与党内の議論で現れたことが国債の60年償還ルールを見直すべきではないかといった考えだが、先に松野官房長官が表明した通り、厖大化した国債の累積残からして安定的な償還のスキームを崩したならば市場の信認を甚く損ねる重大な不安を惹き起こしてしまう。
 結局、今の日本の財政下では国債の償還スキームを変動させる余裕は微塵もなく、然りとて日銀の金融裁量とて市場における長期金利の上昇圧力を抑える余裕もなく、どの道、日本は金利の上昇と増税は不可避な状況に在ると言えよう。
 辛い時代になった・・・