世に蔓延る家系ラーメン店も、元祖・吉村家を越えるものはないと思われる。
　大量の鶏油やレモン汁を使う吉村家のラーメンは他店の追随を許さぬものだ。
　そうして、吉村家ラーメンの特徴と言えば、チャーシューをスモークにしている点だ。
　店主・吉村実さんがチャーシューは煮ちゃダメだと喝破しているから、その拘り方がよく知れる。
　自分は煮たチャーシューの方を好むが、なるほど吉村家ラーメンのスープならばスモークのチャーシューが格別の味を引き立てる。
　そうした吉村家ラーメンを継承しているのは横浜・六角橋の末廣家で、吉村実さんの門弟たる末廣家店主のスモーク・チャーシューへの拘り方もまた一方ならぬものがある。
　当に吉村家の味を正統に継承しているのは末廣家であろう。
　そこに、スモーク・チャーシューを特徴とする家系ラーメン第三の名店が現れた。
　地元の人でなければちょっと地理を会得しない地に登場し、相模国一之宮・寒川神社の東に見る丘陵上を南北に走る街道沿いに在る。
　開業は2020年７月というから未だ満３年にも達しない新発の店舗ながら、地元では大変な評判と聞く。
　なるほど、スモーク・チャーシューの生肉感を顕わすも、吉村家・末廣家のチャーシューに較べ、外輪部がよく燻されて、絶妙な焦がし味を揮ってる。
　ラーメン・テロリストには是非一度は訪れてみたい名店の一つだ。